質問型歯科カウンセリング®とは

治療を説明して説得するのではなく、
患者さん自身が「本当に望んでいる未来」に気づき、納得して治療を選択するためのカウンセリングです。
歯科医院では、患者さんにより良い治療を受けていただくために、私たちは一生懸命説明をします。
インプラントとはどのような治療なのか。
セラミックと保険の被せ物は何が違うのか。
なぜ、その治療が必要なのか。
できるだけ専門用語を使わず、写真や模型を使いながら、わかりやすく説明する。
それ自体は、とても大切なことです。
しかし、私は長年、患者さんに自費診療をご提案する中で、一つの壁にぶつかっていました。
丁寧に説明すればするほど、最後に患者さんから返ってくるのは、
「それはいくらですか?」
という言葉。
そして費用をお伝えすると、
「そんなにするんですか。それなら保険でお願いします」
と言われてしまう。
治療の良さは伝えたはずなのに、なぜ選ばれないのだろう。
私は長い間、
「もっと上手に説明しなければいけない」
と思っていました。
もっとわかりやすく。
もっと丁寧に。
もっと治療のメリットを伝える。
しかし、あるとき気づきました。
問題は、説明の上手・下手ではありませんでした。
私が治療について一生懸命話している一方で、患者さん自身のことを十分に聞いていなかったのです。
何に困っているのか。
何が不安なのか。
どうなりたいのか。
その治療の先に、どんな生活を望んでいるのか。
本当に聞くべきだったのは、
「治療についてどう説明するか」ではなく、「患者さんは何を望んでいるのか」
だったのです。
そこから生まれたのが、質問型歯科カウンセリング®です。
患者さんが本当に欲しいのは「治療」ではありません
質問型歯科カウンセリング®の原点には、一つの考え方があります。
それは、
患者さんが本当に欲しいのは、インプラントでも、セラミックでも、入れ歯でもない。
ということです。
治療そのものが最終目的なのではありません。
患者さんが本当に望んでいるのは、
その治療によって手に入る「未来」
です。
質問型歯科カウンセリング®では、患者さんに治療方法を一方的に説明するのではなく、患者さん自身が大切にしていることや、治療後に望んでいる未来を丁寧に聞いていきます。
この考え方を実際の歯科医院で実践できるTCを育成するのが、マスターTC育成講座です。
「もう一度、好きなものを思いきり食べたい」
「人前で口元を気にせず笑いたい」
「できるだけ自分の歯を残したい」
「これから先、歯のことで困らずに過ごしたい」
「家族と同じ食事を楽しみたい」
患者さん一人ひとりに、違った願いがあります。
ところが、多くの患者さんは、その願いを最初から明確な言葉にできているわけではありません。
「噛めるようになりたい」
「きれいにしたい」
「痛くならないようにしたい」
「できれば保険でお願いします」
最初は、そのような言葉で来院されることも少なくありません。
だからこそ、私たちはすぐに答えを出すのではなく、質問します。
その言葉の奥にある、
「本当はどうなりたいのか」
を、一緒に見つけていくためです。
「保険で噛める入れ歯を作ってほしい」の奥にあった、本当の願い
以前、
「保険で噛める入れ歯を作ってほしい」
と来院された患者さんがいました。
その言葉だけを聞けば、
「では、保険の入れ歯を作りましょう」
と治療を進めることもできます。
しかし、そこで終わらず、私はいくつか質問をしました。
「今、何を一番食べたいですか?」
「以前はどんなものを食べていましたか?」
「もし、しっかり噛めるようになったら、何をしたいですか?」
質問を重ねていくうちに、その患者さんの本当の願いが見えてきました。
それは、
「大好きなツブ貝を、もう一度しっかり噛んで食べたい」
ということでした。
この患者さんが本当に欲しかったのは、「保険の入れ歯」ではありません。
だからといって、最初から「インプラントをしたい」と思っていたわけでもありません。
本当に望んでいたのは、
好きなものを、もう一度楽しんで食べられる生活
だったのです。
その未来が明確になったうえで、
入れ歯、ブリッジ、インプラントなど、それぞれの治療方法について、
メリット、デメリット、期間、費用をお伝えしました。
その結果、患者さんはご自身でインプラント治療を選択されました。
こちらから治療を売り込んだわけではありません。
患者さん自身が、
「自分はどうなりたいのか」
に気づき、
その未来を実現するために、どの治療を選ぶのかを自分で考えて決められたのです。
これが、質問型歯科カウンセリング®で大切にしている考え方です。
「説明する」から「まず質問する」へ
質問型歯科カウンセリング®では、
治療説明をしないわけではありません。
むしろ、説明はとても大切です。
ただし、
説明する前に、患者さんのことを理解する。
この順番を大切にしています。
たとえば、抜歯後の治療について患者さんから、
「抜いた後はどうなるんですか?」
と聞かれたとします。
そこで、すぐに
「インプラントがおすすめです。インプラントとは……」
と説明を始めるのではありません。
まず、
「○○さん自身は、抜いた後をどうしたいですか?」
と質問します。
すると患者さんは、一度立ち止まって、自分自身の希望について考え始めます。
「できればしっかり噛みたい」
「隣の歯は削りたくない」
「取り外し式のものは避けたい」
「できるだけ長持ちする方法がいい」
そこで初めて、
その患者さんにとって何が大切なのか
が見えてきます。
そのうえで、
「では、それぞれの方法にはこういう特徴があります」
と説明する。
この順番であれば、同じ治療説明でも意味が大きく変わります。
患者さんの希望がわからないまま、一方的に治療を説明するのではありません。
患者さんが望む未来を理解したうえで、その未来を実現するための選択肢として治療を説明する。
それが、質問型歯科カウンセリング®です。
答えを与えるのではなく、患者さん自身が答えを見つける
歯科医療従事者は、歯科の専門家です。
だからこそ、
「この治療が良い」
「この方法がおすすめ」
と、つい答えを先に伝えたくなります。
しかし、
歯科医療の専門家であっても、
患者さんの人生の専門家ではありません。
何を大切にしたいのか。
どこまで治療を望むのか。
費用、期間、見た目、噛み心地、将来性の中で、何を優先するのか。
その答えを持っているのは、患者さん自身です。
私たちの役割は、
患者さんの代わりに答えを決めることではありません。
必要な情報を提供しながら、
患者さん自身が、自分にとって納得できる答えを見つけられるよう支援すること。
そのために、質問があります。
質問は「情報を聞き出すため」だけのものではありません
質問型歯科カウンセリング®で行う質問は、医院側が患者さんの情報を集めるためだけのものではありません。
質問には、
患者さん自身に考えてもらう
という大切な役割があります。
たとえば、
「今、一番困っていることは何ですか?」
「それによって、生活の中でどんな不便がありますか?」
「今の状態がこのまま続いたら、どうなりそうですか?」
「本当は、どんな状態になりたいですか?」
「それができるようになったら、何が変わりますか?」
こうした質問を重ねることで、
患者さんの頭の中にあった漠然とした悩みが、少しずつ整理されていきます。
すると、
「自分は噛めないことだけが嫌だったわけではないんだ」
「本当は、家族と同じものを食べたいんだ」
「見た目だけではなく、人前で笑えるようになりたいんだ」
というように、
患者さん自身が、自分の本当の希望に気づいていきます。
この、
「自分で気づく」
というプロセスがとても大切です。
人は、誰かに言われて決めたことより、
自分で考え、自分で気づき、自分で決めたことの方が納得して行動できます。
だから私たちは、話すこと以上に、質問することを大切にしています。
質問型歯科カウンセリング®の5つのステップ
質問型歯科カウンセリング®では、患者さんとの会話を大きく5つのステップで考えます。
STEP1|信頼関係をつくる
最初に大切なのは、
患者さんが
「ここなら安心して話せる」
と思える関係をつくることです。
患者さんの話を遮らない。
否定しない。
決めつけない。
しっかり耳を傾ける。
どれだけ良い質問をしても、信頼関係がなければ、本当の気持ちはなかなか話してもらえません。
すべてのカウンセリングは、ここから始まります。
STEP2|現在の悩みを聞く
今、何に困っているのか。
どんな不安があるのか。
何がきっかけで来院したのか。
患者さんが今抱えている問題を、丁寧に聞いていきます。
単に症状だけを見るのではなく、
その問題によって、患者さんの生活に何が起きているのか
まで聞いていきます。
STEP3|理想の未来を聞く
次に、
「本当はどうなりたいですか?」
「治療が終わったら、どんな生活を送りたいですか?」
と質問します。
ここで初めて、
治療ではなく、その先の未来
に目を向けてもらいます。
患者さん自身が、
「自分はこうなりたい」
とイメージできることが大切です。
STEP4|現在と理想のギャップに気づいてもらう
今の状態と、理想の状態。
その間に、どのようなギャップがあるのかを一緒に整理します。
「今のままだとどうなるのか」
「理想の状態になるためには何が必要なのか」
を考えることで、
患者さん自身が治療の必要性を理解していきます。
私たちが、
「治療しなければ大変ですよ」
と説得するのではありません。
患者さん自身に考えてもらうことが大切です。
STEP5|患者さん自身が決断する
最後に、それぞれの治療方法について必要な情報をお伝えします。
治療内容。
メリット。
デメリット。
期間。
費用。
そのうえで、
「では、自分はどうしたいのか」
を患者さん自身に考えていただきます。
医院側が決断させるのではありません。
患者さん自身が納得して決められる状態をつくる。
それが、質問型歯科カウンセリング®の最終的な目的です。
質問型歯科カウンセリング®は、理論を理解するだけでは身につきません。
実際の患者さんとの会話を想定し、質問、ロールプレイ、振り返りを繰り返しながら、
「知っている」を「できる」に変えていくこと
が大切です。
マスターTC育成講座では、10ヶ月間かけて、質問型歯科カウンセリング®を実際の診療現場で使えるレベルまで身につけていきます。
質問型歯科カウンセリング®を、「知っている」から「できる」へ。
患者さんを前にすると、質問できず、つい説明ばかりしてしまう。
それは珍しいことではありません。
マスターTC育成講座では、質問型歯科カウンセリング®を理論だけで学ぶのではなく、ロールプレイ、実践、振り返り、メンターによる伴走を通して、実際の診療現場で使えるようになるまで学びます。
自費診療を「売る」ための手法ではありません
ここは、私が最も大切にしているところです。
質問型歯科カウンセリング®は、
患者さんを誘導し、高額な自費診療を契約してもらうための営業テクニックではありません。
自費成約率だけを上げることが目的でもありません。
患者さんの話を十分に聞き、
その方の価値観や希望を理解した結果、
保険診療がその患者さんにとって納得できる選択であるなら、それも大切な選択です。
重要なのは、
「医院がどの治療をしてほしいか」
ではありません。
「患者さん自身が、どの治療を選びたいのか」
です。
そのために、
必要な情報をわかりやすく伝える。
メリットだけでなく、デメリットも伝える。
選択肢を示す。
そして、患者さん自身に考えてもらう。
だからこそ、
押し売りする必要はありません。
決断を急がせる必要もありません。
値引きで背中を押す必要もありません。
患者さんと歯科医院が向かい合って交渉するのではなく、
同じ方向を向いて、「この患者さんにとって、どんな未来が望ましいのか」を一緒に考える。
それが、質問型歯科カウンセリング®です。
「説明しない」のではありません。「説明の前に理解する」のです
質問型歯科カウンセリング®について説明すると、
「では、治療説明はしないのですか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、説明はします。
ただ、順番が違います。
一般的には、
説明する → 理解してもらう → 決めてもらう
という流れになりがちです。
質問型歯科カウンセリング®では、
聞く → 理解する → 一緒に考える → 説明する → 患者さんが選ぶ
という流れを大切にします。
患者さんのことを理解してから説明するからこそ、
その説明は、
その患者さんにとって意味のある情報
になります。
説明の量を減らすのではありません。
説明の質を高めるために、先に聞く。
それが、質問型歯科カウンセリング®の考え方です。
特別な話術ではなく、誰でも学べる「型」へ
質問型歯科カウンセリング®は、
話が上手な人だけができるものではありません。
営業経験も必要ありません。
私は長年の臨床と実践を通して、
どんな質問をするのか。
どの順番で質問するのか。
患者さんの答えに、どう返すのか。
どのタイミングで治療について説明するのか。
こうした流れを検証し、カウンセリングシートとして体系化してきました。
そのため、
院長だけでなく、
TC、
歯科衛生士、
歯科助手、
受付スタッフなど、
さまざまな立場のスタッフが学び、実践することができます。
目指しているのは、
「院長しか自費診療の話ができない医院」ではありません。
スタッフ一人ひとりが患者さんの話を聞き、
患者さんの価値観を理解し、
患者さんが望む未来を一緒に考えられる医院です。
カウンセリングを一部の人の才能に頼らない。
医院全体で再現できる「型」と「仕組み」にする。
それも、質問型歯科カウンセリング®の大きな特徴です。
マスターTC育成講座では、講義だけで終わらせず、1医院に1名の担当メンターがつき、実際の診療現場で実践できるようになるまで伴走します。
初診からアフターまで、医院全体で患者さんを支える
患者さんとのカウンセリングは、一度きりではありません。
患者さんの気持ちは、治療の段階によって変化します。
最初は不安だった患者さんが、検査結果を見て新しい疑問を持つこともあります。
治療方法を検討する中で、費用や期間について迷うこともあります。
治療が終わった後には、
「この状態をどう守っていけばいいのか」
という新しい課題が生まれます。
だから質問型歯科カウンセリング®では、
初診、セカンド、補綴、アフター
というそれぞれの場面で、患者さんの気持ちを確認しながら対話していきます。
質問型歯科カウンセリング®を医院に定着させるためには、一人のTCだけが学ぶのではなく、院長先生とスタッフが共通の考え方を持ち、継続して実践することも重要です。
名古屋塾では、質問型歯科カウンセリング®をはじめ、自費診療、スタッフ教育、組織づくり、歯科医院経営について継続して学びます。
一度説明して終わりではありません。
患者さんの治療の過程に寄り添いながら、
その時々に必要な質問をする。
その積み重ねによって、
患者さんとの信頼関係を深めていきます。
変わるのは、自費成約率だけではありません
質問型歯科カウンセリング®によって変わるのは、自費診療の成約率だけではありません。
患者さんとの関係が変わります。
スタッフの仕事への向き合い方が変わります。
院長先生の負担も変わります。
患者さんは、
「自分の話をきちんと聞いてもらえた」
と感じる。
スタッフは、
「治療を売った」のではなく、「患者さんが納得できる選択を支援できた」
という実感を持てる。
そして、
院長先生だけが説明を背負うのではなく、
医院全体で患者さんを支えられるようになる。
その結果として、
患者さんとの信頼関係が深まり、
自費診療も自然に選ばれやすくなり、
スタッフの成長にもつながり、
医院全体の価値が高まっていきます。
質問型歯科カウンセリング®を医院経営の中でどのように活かし、患者さんから選ばれる医院をつくっていくのか。
その考え方を継続して学び、医院全体で実践する場として「名古屋塾」を開催しています。
私たちがつくりたいのは、「売れる医院」ではありません
私が目指しているのは、
単に自費診療の成約率が高い歯科医院ではありません。
患者さんが、
「ここなら、自分のことをわかってくれる」
と思える医院。
スタッフが、
「治療を売るのではなく、患者さんのお役に立てている」
と誇りを持って働ける医院。
そして院長先生が、
「自分が本当にやりたかった歯科医療ができている」
と思える医院です。
患者さんの話を聞く。
悩みを理解する。
理想の未来を一緒に考える。
必要な情報を伝える。
そして、
患者さん自身が納得して治療を選択する。
その積み重ねによって信頼が生まれ、
結果として自費診療も自然に選ばれるようになっていく。
私たちが目指しているのは、
「治療を売る医院」ではなく、「患者さんから相談され、選ばれる医院」です。
治療を提案する前に、患者さんの未来を聞く。
「何を治すか」だけではなく、
「どんな人生を送りたいか」から考える。
それが、私が長年の臨床経験と実践を通してたどり着いた、
質問型歯科カウンセリング®です。
質問型歯科カウンセリング®は、患者さんを説得して治療を選んでもらうための方法ではありません。
患者さんの話を聞き、悩みを理解し、
「本当は、どうなりたいのか」
を一緒に考える。
そして、必要な情報をお伝えしたうえで、
患者さん自身が納得して治療を選べるよう支援する。
そのカウンセリングを、院長先生一人の能力に頼るのではなく、医院のスタッフが実践できる「型」として身につけていく。
それが、マスターTC育成講座です。
「知っている」を「できる」に。
患者さんから「この人に相談したい」と思われるTCを育てませんか?
質問型歯科カウンセリング®を医院に取り入れたい方へ
患者さんに一方的に治療を説明するのではなく、悩み・価値観・望んでいる未来を聞きながら、患者さん自身が納得して治療を選べるカウンセリングをつくりたい方へ。
質問型歯科カウンセリング®の考え方や実践方法について詳しくご紹介しています。
自院のカウンセリングを見直してみませんか?
「説明中心になっている」
「スタッフによってカウンセリングの質に差がある」
「自費診療を勧めることに抵抗がある」
という場合は、まず現在の医院のカウンセリングや患者導線を整理することから始めてみてください。












